『霊魔伝』其の弐 火の章
《良く見るがいい。
これが我が村に伝わる青き炎の七支刀だ。
この攻撃を受けるがよい。》


零次朗の胸の痣が大きく疼いた。
零次朗は気が付かなかったが、痣の形は炎から龍に変わっていた。

《零次朗殿、あの七支刀は我らが龍の一族の宝刀です。不動龍王刀と並び龍の帝国に伝わっていたものです。》

「龍太か、それは本当かい。」

《いつしか失われてしまったものが、何故ここにあるのか。》

村長が七支刀を振り下ろした。

七つの刃先から青白い炎が吹き出して、マニの全身を覆った。炎に包まれたはずのマニの身体は凍っていた。

「どういうことだ。炎の攻撃ではないのか。」

零次朗が呟くと、龍太が解説した。

《不動龍王刀は熱き炎の攻撃ならば、七支刀は冷たき炎の攻撃。
正式な名は青龍七支刀です。
この二本を合わせ持つ者は龍の一族を支配できます。もう一振りすれば、相手は粉々に砕け散ります。》

村長は動かなかった。

《ラニよ、マニよ。もう一度言う。道を譲ってくれ。おまえたちとは争いたくない。》

いきなりラニが、持っていた槍を振り下ろした。

その槍はマニの凍った身体を粉砕した。

《何をする。双子ではないか。》

《負けた者は消滅あるのみ。さあ、今度は俺が相手だ。》

槍を頭上に持ち上げ回し始めた。
するとラニの周りの空気が次第に渦を巻き、その渦の中でラニの姿が消えた。

《そうか、どうしてもやるというのか。》

村長は再び七支刀を振り下ろした。

先程のように青き炎が走った。
しかし、その炎は渦に巻き込まれて、消えてしまった。

激しい空気の渦がラニの周りに真空層を作り出しており、炎が届かないのだ。
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