先見の巫女
《朱雀》


「なんだよ…これ…」


そう呟いた俺に、翡翠龍は視線を向けた。


『朱雀…といったか…』


名前を呼ばれた俺は警戒して咄嗟に刀を構えた。


『我は翡翠龍…お前の持つ永炎朱雀と同じように、四神の化身だ…』

「だけど…アンタは化身も何も……」


翡翠龍は他の四神の化身と違って、その姿を保っている。


雛菊も四神に選ばた人間だったのか?


『我は雛菊の体を依りましとして、この姿を保っておる…。これから起こる災厄の為に…』


「災厄…?」


翡翠龍は小さく頷いた。


『やがて…京は魑魅魍魎の影に飲み込まれる。それを翡翠龍である我と、その依りましである雛菊は命をかけて食い止めなければならない…。勿論、その災厄の場にお前もおる』


俺が…?
何でまた……


だが翡翠龍には過去を見知り、未来を先見る事が出来ると聞く。


そうすれば雛菊の不思議な力の事も納得出来る…




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