先見の巫女


『翠の魂を受け継いだ人間…朱雀よ。もう二度と…あの娘を手放すでないぞ…。何もせねば未来は変わらぬ、また繰り返し失う事となろう…』


もう二度とってどういう意味だよ…

手放すなって…
あの娘……?


雛菊の事か……?
それに………


「どうして翠の名前を知っている?」


翠という名前は俺以外知らないはず。いや…雛菊も知っているのかもしれない。


俺を見て『翠』と呼んだ事があった。


『翠もお前も…同じ魂を持つ人間だからだ…。いずれ…全てを知る時が来るであろう…』


そう言って翡翠龍の姿が消えていく。


「待て!!!まだ聞きてぇ事が山ほどあんだ!!!」


そんな叫びも虚しく、翡翠龍はその姿を消した。





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