BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

何も音がしない、誰もいないような、静かな部屋の中。

時の流れから切り離されたかのような、そんな一室の中に、1人、何かを手にし、ジッと見つめる少年の姿があった。


彼は、手にしていた写真を見つめると、微かに悲しそうな瞳を見せ、その写真から目を反らす…


そんな時…




       ガチャ…


部屋の奥から聞こえた物音…

何事かと伏せていた顔を上げ、物音のした方へと目をやると…



 「ルリ…」


そこには、奥の部屋から現れた、茶色髪の小さな少女の姿があった…


彼女は目を伏せ、トボトボと歩を進めている…

まるで、何かにとりつかれ、自分の意志とは無関係に歩いているように…




 「ルリ…?」


異変に気づき、再び彼女の名を呼ぶが、彼女のその状況は変わらない…

シュウは、手にしていた写真を棚に置くと、ルリに歩み寄り、彼女の肩にそっと触れた…


すると…


 「!」

彼女はビクッと体を震わせると、大きく目を見開き、肩に触れた人物を見上げた…


思いもしない出来事に、驚いたシュウは、とっさに肩に置いた手を引っ込める…


パチパチと瞬きを繰り返していると…


 「…シュウ……」

見開かれていた瞳はいつものように戻り、彼を見上げる少女の姿があった…


 「大丈夫か?」


 「…うん。」


自分の行動に、恥ずかしそうにほんのりと頬を染めながら、いつものように戻ったルリを見て訊く。


すると、彼女はにっこりと微笑んだ。

その笑顔を見れば、誰しも彼女は大丈夫だと思ってしまう…

そんな中、シュウは気づいていなかった…


彼女が返事をする前に感じた、わずかな間を…


その中に含まれた、彼女の心の叫びに…




微笑む彼女を見て、どこかホッとしながら、視線を下げると…



彼の瞳に映った、赤く染まる、小さな拳…



 「?怪我、してるのか?」

 「えっ…あ、大丈夫だよ……」


心配そうに訊くと、彼女はとっさに拳を背中に回し、彼から見えないように隠したのだった…


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