BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

消毒液のツンとした匂いが漂う。

そんな部屋の中、ベッドに腰掛けるルリの拳に、包帯を巻くシュウの姿があった。


おとなしく、シュウに怪我の治療を任せるルリ。

そして、シュウは、丁寧に彼女の拳に包帯を巻ながら、こんな事を話し出した…



 「俺……昔、1つの町を燃やし尽くした事がある……」


それは、自分の過去…

触れて欲しくない、辛い過去…

なのに、彼は話し続ける…

苦しみ続け、逃れる事のできない過去を…



 「町全体が炎に包まれ…地面は血の海だった……」



その光景が再び目の前に現れる…

苦痛に耐える、叫び声さえも…



 「俺は………」


苦しみの中、彼は口を開くが…


 「止めて!!」

 「!」

ルリはそう叫ぶと、自らの頭を抱え、縮こまる…

途中だった包帯が、ハラハラと床に落ちてゆく…


 「止めて……聞きたくない………」


微かに震える彼女…

身を抱え、恐怖から遠ざかろうとする…



 「ルリ…」


そっと彼女に手を伸ばすが…

その手は彼女に触れる寸前で止まった…



 「私のせいだから……シュウのせいなんかじゃない………私の…せいだから……」
 「……」


言葉をなくしたシュウ…


こんなつもりじゃなかった…

彼女を苦しめるつもりじゃなかった…

ただ、彼女だけじゃないって…

苦しい過去を持つのは、彼女だけじゃないって…

心を開いて欲しかったんだ…

同じ痛みを持つ者として…

居場所をなくした者として…



今にも泣き出しそうなルリ…

唇を震わせ、涙を堪えながら続ける…


 「DRAGONが町を襲ったのは……私の中にDRAGONの魂があるから……だから……」


苦しかった…

胸を締め付けられるような、その痛み…

それ以上に、彼女の心はズタズタなのだろう…

その痛みを、ずっと1人で耐えていた…


 「ルリのせいじゃない……ルリの妹の事だって………」


シュウのその言葉に、首を振るルリ…

何度も何度も首を横に振り続ける…

その度に茶色い髪が揺れ、乱れる…

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