ゼロクエスト ~第2部 異なる者
全身から解き放たれる気には、妙な威圧感があった。かなりの手練れなのかもしれない。
仮にこの男と真正面から戦ったとしても、私には全く勝ち目がないことを直感した。私は精霊石の嵌め込まれた左腕のブレスレットを強く握り締める。
(精霊術……何とか隙を作れないかしら)
こちらへ向けられる殺気から考えると、いつ攻撃をされてもおかしくはない。
人間相手に、しかもこんな街中であまり術を使いたくはなかった。が、この状況ではやむを得ないだろう。
しかし私が術文を口にする前にアレックスが先に動いていた。腰に下げていた長剣を引き抜くと、男に斬りかかっていったのだ。
刃と刃のぶつかる音がする。男がそれを右手に持っている3本の剣で受け止めた。
男は透かさず空いている左手でそれを繰り出してきた。それらを指の間に挟み込み、モンク(格闘術士)などがよく使う武器「鉄爪(アイアンクロー)」のように攻撃してきたのである。格好はモンクではないが、恐らくそれがこの男の武器なのだ。
剣はギリギリのところでアレックスの鼻先を掠めた。
が、それに気を取られていた彼の下半身はガラ空きだった。そこを蹴られ、背後へ吹き飛ばされる。
「風刃鋭鎌(ヴィン・シャル・クリン)!」
私は男へ向けて鎌鼬(かまいたち)を放つ。
だが。
「!?」
私は一瞬、自分の目を疑った。
仮にこの男と真正面から戦ったとしても、私には全く勝ち目がないことを直感した。私は精霊石の嵌め込まれた左腕のブレスレットを強く握り締める。
(精霊術……何とか隙を作れないかしら)
こちらへ向けられる殺気から考えると、いつ攻撃をされてもおかしくはない。
人間相手に、しかもこんな街中であまり術を使いたくはなかった。が、この状況ではやむを得ないだろう。
しかし私が術文を口にする前にアレックスが先に動いていた。腰に下げていた長剣を引き抜くと、男に斬りかかっていったのだ。
刃と刃のぶつかる音がする。男がそれを右手に持っている3本の剣で受け止めた。
男は透かさず空いている左手でそれを繰り出してきた。それらを指の間に挟み込み、モンク(格闘術士)などがよく使う武器「鉄爪(アイアンクロー)」のように攻撃してきたのである。格好はモンクではないが、恐らくそれがこの男の武器なのだ。
剣はギリギリのところでアレックスの鼻先を掠めた。
が、それに気を取られていた彼の下半身はガラ空きだった。そこを蹴られ、背後へ吹き飛ばされる。
「風刃鋭鎌(ヴィン・シャル・クリン)!」
私は男へ向けて鎌鼬(かまいたち)を放つ。
だが。
「!?」
私は一瞬、自分の目を疑った。