ゼロクエスト ~第2部 異なる者
その原因は一つしか思い付かなかった。
この前の魔物に付けられた奇妙な紋様。それしか考えられない。
剣を再び受け止めたアレックスは、それを押し戻した。液体の蒸発するような音を立てながら、男の持つ短剣が斬られていく。
アレックスはそのまま振り下ろしていた。が、それは切っ先を掠めたにすぎなかった。
相手が後方跳躍で避けたのだ。
しかし口元を覆っていたマントは切られている。
「それが貴様の能力か」
男はここで初めて露出した口端を上げると、折られた短剣を無造作に投げ捨てた。
私の足元に転がってきたそれは、刃の部分が溶けたように真っ二つになっている。属性を付けたアレックスの剣は、金属をも溶かす能力を持っているのだ。
男は新たに同様の剣を懐から取り出すと、再び攻撃を仕掛けていく。一体いくつ隠し持っているのだろうか。
(それにしてもあの人、まだ本気で戦ってはいないわね)
足元に落ちている刃の欠けた柄を見れば分かる。
精霊石が付いていないのだ。
精霊術士以外の術士であるならば、メインの武器には大抵付いているはずである。例えどんな術士であっても、特に魔物との戦闘では属性の力は欠かせないからだ。
この前の魔物に付けられた奇妙な紋様。それしか考えられない。
剣を再び受け止めたアレックスは、それを押し戻した。液体の蒸発するような音を立てながら、男の持つ短剣が斬られていく。
アレックスはそのまま振り下ろしていた。が、それは切っ先を掠めたにすぎなかった。
相手が後方跳躍で避けたのだ。
しかし口元を覆っていたマントは切られている。
「それが貴様の能力か」
男はここで初めて露出した口端を上げると、折られた短剣を無造作に投げ捨てた。
私の足元に転がってきたそれは、刃の部分が溶けたように真っ二つになっている。属性を付けたアレックスの剣は、金属をも溶かす能力を持っているのだ。
男は新たに同様の剣を懐から取り出すと、再び攻撃を仕掛けていく。一体いくつ隠し持っているのだろうか。
(それにしてもあの人、まだ本気で戦ってはいないわね)
足元に落ちている刃の欠けた柄を見れば分かる。
精霊石が付いていないのだ。
精霊術士以外の術士であるならば、メインの武器には大抵付いているはずである。例えどんな術士であっても、特に魔物との戦闘では属性の力は欠かせないからだ。