ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
―――――……


川辺に座り、怜央は一人で茜を待っていた。


夕日が沈んでいく。


橙色に輝く太陽が、まるで人間の怜央の命の灯(ともしび)のようで、沈みゆく太陽を見ているのは、胸に堪(こた)えた。


「怜央ちゃん!」


いつもの明るい声が怜央の背中に投げかけられる。


振り向くと、茜の左足のふくらはぎに包帯が巻かれていて、茜は足を引きずりながら怜央の元に嬉しそうに歩み寄った。


怜央は慌てて立ち上がり、茜を支える。


「茜……足……」


「ちょっと打撲しただけ。数日で治るらしいから全然大丈夫!

それより怜央ちゃんこそ大丈夫?」


「俺は大丈夫だけど……」


茜の怪我は、自分が原因だということは痛いほど分かっていた。


それなのに茜は、怜央を咎めることなく、逆に心配さえもしてくれている。


そんな優しさが、怜央には辛かった。

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