ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「とりあえず座ろうか」


茜の足を気遣って、川辺に二人肩を寄せ合って座ると、なんだか不思議な心持ちがした。


こんな風に、並んで座るのはいつぶりだっただろう。


お互い、なんとなく気恥ずかしくなっていた。


昔はなんでもなかったこと些細なことですら、意識してしまっていた。


ドキドキが相手に伝わらないように、わざと突っぱねたり、距離を置いたりした。


そんなことさえ、今は懐かしい。


たった数週間前のことなのに。

「俺さぁ、茜のことが好きだった」


突然の告白に茜は目を見開いた。


胸がドクドクする。


ドキドキとは違う。


凄く嬉しいはずなのに、泣きたくなる。


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