ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「怜央ちゃん……」


寂しげに佇む、怜央の瞳を見た茜は思わず怜央の元へ駆け寄り、抱きしめた。


悲しみで消えてしまいそうな怜央を、離さないようにぎゅっと抱きしめる。


「怜央ちゃん」


名前を呼ばれた怜央は、残酷な瞳で茜を見下ろすと『邪魔だ』と言って、軽く茜の肩を押し返した。


すると茜の身体は、強い衝撃によって弾き飛ばされ、そのまま壁に激突した。


「茜ちゃん!!」


日向が叫び、茜の元に駆け寄る。


「つっ……」


激しく背中を壁に打ち付けた茜は、痛みで顔を歪ませた。


「お前……何してんねんっ!」


日向に睨み付けられ、怜央は少しだけ動揺した。


軽く、肩を押したつもりだった。


それなのに、あんなに飛ぶなんて……。


茜は痛みを抑えて、フラフラと立ち上がろうとした。


日向は心配そうに手を差し出したが、茜はその手を払い、一人で立ち上がった。
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