蹴球魂!!!!
ポタッと、スカートに涙が落ちた。

それは染みを作って、ゆっくりと大きくなっていく。


「ったく…泣くなよ馬鹿」

「う、るさい…」


やっと絞り出した言葉は、かわいげの欠片もない。


「うーわ、ぶっさいく」


あたしの泣き顔を見てそう言う晃汰はやっぱりひどい。

てゆーか、乙女の顔に不細工って何??


馬鹿馬鹿。

…好き……大好き。


ーチュッ


自然と顔が近付いて、あたしたちはキスをした。


晃汰とキスするのは2回目。

だけど、“楠木 円”としてのキスは…初めてだった。

あったかくて、幸せってこういう事なんだって思った。


「じゃ、そ、その…また明日な!?」

「うううううんっ!!また明日ね!?」


別れ際、家まで送ってもらいながらお互い恥ずかしくなってきて、噛みまくりながらバイバイした。


“円の事が、好きになったから”

嘘みたいな晃汰の言葉。あたしの心は踊るばかり。


「あ」


ふと思い出したのは、飛鳥からのメール。

家に着いたから…もう見ていいんだよね??


とりあえず荷物を置いて、右手に微かに残る晃汰の温もりにニヤニヤしながら、特に何も考えずにケータイを開いた。


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