蹴球魂!!!!
「晃汰、どこ行くの??」

あたしがそう聞くと、晃汰は振り返って笑った。

「送ってく」


…え。

えぇぇぇぇぇ!?!?


「え、ちょ、マジな話??」

「何??こんな真っ暗な中、女を1人で帰らせるような奴に見える??」

ードキンッ

「いや、今まで1人で帰らせてたじゃん」

「でも今は彼女じゃん」


“彼女”


晃汰のその言葉に、死ぬほどドキドキしてしまう。

…あたし、本当に晃汰の彼女なんだ……!!


「行くぞ」

「う、うんっ」

「ったく…亀だな」


ニヤッと悪巧みをする子供のように笑う晃汰に、心臓はもう破裂しそうだった。


晃汰と2人で、街灯と月だけが照らす夜道を並んで歩いた。

手が、あと少しで触れそうなのに…決して繋がらない。

もどかしい、距離。


ぼんやりと浮かぶ影が、あたしたちの距離を映す。


…なんて、馬鹿かあたしは。

相手は、晃汰だもん。

送ってくれるだけでも大きな進歩じゃん。


…そう思ったらなんだか嬉しくなってきて、足取りも軽くなった。


「子供か!!」

「違うしー!!!!」

「つーか、亀なのか子供なのか、どっちかにしろよ!?」

「うーん…って、どっちも違いますー!!」
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