蹴球魂!!!!
こんなに泣きそうな顔、あんな最低男に見せたくない。

あんな最低で最悪な奴なんて、早く嫌いになりたい。


…なりたい、けど……。


「ふっ…うぇぇ…」

なれないよ。


あんな最低で最悪な晃汰。

意地悪で無愛想で冷徹な晃汰。


なのに…あたしは、優しい晃汰の顔を知ってる。

優しい晃汰の声を知ってる。

晃汰が本当は優しいんだって…知ってる。


もう依存症なんだよ。

晃汰っていう馬鹿の塊に、虜になってるんだよ。


「わかってよ…馬鹿ぁ……」


晃汰にとって、あたしって何なんだろう??

あたしっていう存在は、どれぐらい大きいんだろう??


あたしの中の晃汰は、信じられないぐらい大きくなっちゃったのに。


走って走って、行き着いた先は、グラウンドの隅に置かれた、小さな練習用のサッカーゴール。


ここまで来ても、晃汰が追いかけて来てる気配なんかない。

…本当、もう嫌だ。


晃汰が信じられないよ。


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