例えば私がアリスなら
まずい、これ以上私の人間的評価を落とすことは避けなければ!
「人違いです!私は……確かに白い兎は追いかけ回したけど、あなたを追い掛けた覚えはありません!」
「ほら、やっぱりそうじゃないですか!」
日本語通ジナーイ!!
こんなに力説しても話は噛み合わない。
冤罪だ!私は無罪だ!!
私達の会話劇を見ている観客は黙ってこちらを見つめている。
わ、私そんなに変人に見える!?
……まあ確かに軽くウサギではあるけど。
「だから!私が追い掛けたのは兎です!リアルな!」
「はい!だからつまりアリスです!」
「だからいい加減に、し、てぇ……え?」
私は今、世界一の超魔術を目撃した。
今目の前にいるのは、さっき学校の廊下で奇跡的な出会いを遂げ、校内鬼ごっこを繰り広げた小さな白い兎。
リヴさんの姿はない。
いや、ないと言うより
「……へ、変身した……?」
私の目の前で、私とあまり変わらない背丈の少女がみるみるうちに小さくなって、
あっという間に小さな白い兎に早変わりしたのだ。
種があるなら見てみたい。
てか、なきゃ困る。
「びっくりしました?」
「ヒィッ!!!」
兎が喋った!ように見えた!
いや、ありえない。
きっと誰か、というかリヴさんがどこかで腹話術か何かをしてるんだよ!
「えへ、貴女の世界でさっきの元の姿だと目立ってしまいますからね、さりげなく馴染めるようにこうして小さな兎の姿になって訪ねさせていただきました」
うーん、場所が悪かったかな。
学校じゃ浮きまくりでしたよ。
腹話術かと思ったけど、兎の口の動きがナチュラル過ぎる。
辺り一帯に彼女の姿は見えないし、スピーカーから声が聞こえてるにしてはクリア過ぎ。
「ご理解いただけましたか?」
首をかしげた兎さん。
くそう、可愛すぎる……。