。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
俺の言葉にキョウスケがびっくりしたように顔を戻し、それでも
「タイガって言うんですか。変わった名前ですね」と何とか返してくる。
ガチャ
応接室の扉が開いて、
「そ♪大狼 恵一。ケイちゃんって呼んでね、ヒヨコちゃん♪」顔を覗かせた大狼が投げキッスをキョウスケに向ける。
「貴様はすっこんでろ!」
俺はテーブルにあった灰皿を思わず投げつけると、あいつに当たる前に扉は閉まった。
またもキョウスケがびっくりしたように目を丸めて、ちょっとだけ肩に力を入れた。
「悪いな」バツが悪そうにキョウスケを見ると、こいつはすぐにいつもの調子を取り戻したのか、姿勢を正し
「新手の嫌がらせですか?」と、ちょっと表情を歪めた。どうやら本気でそう思っているらしい。大狼も本気なのだが。
「嫌がらせなんかじゃない。あれはあいつなりの求愛だ」
「きゅっ!!」
大狼に出されたコーヒーを飲もうとしていたキョウスケは危うく吹き出すところだった。
「ああ、それと。あいつの出した飲み物は口にしない方が身のためだ。一服盛ってある可能性がある」
俺がさらりと言うと、キョウスケは慌ててカップをソーサーに戻した。
その様子を冷静に観察して、俺はこいつが来たことに意外さを感じつつ、それでも内心はこいつで良かったと思っていた。
お嬢はあの通りの性格だから後先考えず、イノシシのように突っ込んでくるし、
虎間 戒の行動は予想不可能。頭がいい分計算して動くタイプだが、その考えがどうも俺の予想できる範疇を超えている。
何をしでかすか分かったもんじゃない。
まぁこいつにしても、何を考えてるのか分からないふしはあるが……
それでもあいつらよりは冷静に話せる相手には違いない。
俺は腕を組むとキョウスケの無表情の顔をじっと見据えた。