。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


俺の言葉にキョウスケがびっくりしたように顔を戻し、それでも


「タイガって言うんですか。変わった名前ですね」と何とか返してくる。


ガチャ


応接室の扉が開いて、


「そ♪大狼 恵一。ケイちゃんって呼んでね、ヒヨコちゃん♪」顔を覗かせた大狼が投げキッスをキョウスケに向ける。


「貴様はすっこんでろ!」


俺はテーブルにあった灰皿を思わず投げつけると、あいつに当たる前に扉は閉まった。


またもキョウスケがびっくりしたように目を丸めて、ちょっとだけ肩に力を入れた。


「悪いな」バツが悪そうにキョウスケを見ると、こいつはすぐにいつもの調子を取り戻したのか、姿勢を正し


「新手の嫌がらせですか?」と、ちょっと表情を歪めた。どうやら本気でそう思っているらしい。大狼も本気なのだが。


「嫌がらせなんかじゃない。あれはあいつなりの求愛だ」


「きゅっ!!」


大狼に出されたコーヒーを飲もうとしていたキョウスケは危うく吹き出すところだった。


「ああ、それと。あいつの出した飲み物は口にしない方が身のためだ。一服盛ってある可能性がある」


俺がさらりと言うと、キョウスケは慌ててカップをソーサーに戻した。


その様子を冷静に観察して、俺はこいつが来たことに意外さを感じつつ、それでも内心はこいつで良かったと思っていた。


お嬢はあの通りの性格だから後先考えず、イノシシのように突っ込んでくるし、


虎間 戒の行動は予想不可能。頭がいい分計算して動くタイプだが、その考えがどうも俺の予想できる範疇を超えている。


何をしでかすか分かったもんじゃない。


まぁこいつにしても、何を考えてるのか分からないふしはあるが……


それでもあいつらよりは冷静に話せる相手には違いない。


俺は腕を組むとキョウスケの無表情の顔をじっと見据えた。









< 205 / 592 >

この作品をシェア

pagetop