。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「り、リコ!そのナース服!」
「…龍崎くんがこれ着ろって…変…?」リコが上目遣いで聞いてくる。
全然変じゃない!ってゆうかむしろ似合い過ぎっ!可愛い過ぎっ!!
なんて目を剥いていると、
「―――誰?」怪訝そうに戒がそっとあたしに耳打ちしてきた。
「何だよ、おめぇの知り合いじゃねぇのかよ。ヒヨコちゃんなんて言ったからてっきりお前のオトモダチかと」
ちらりとタイガの方を見ると、こいつは目をきらきらさせて戒をあっつい視線で見つめていた。
「ヒツジちゃん!♪」なんて言って、戒を引き寄せると、ぎゅ~と抱きしめる。
「ギャーーー!!」
タイガに抱きしめられて、腕の中で戒がピキッと固まった。
いつもならこんな変態野郎、戒の一蹴りでぶっ飛ばす筈なのに、びっくりし過ぎて身動きもできないみたい。
「ちょ、ちょっと!戒を離せよ!」あたしが叫ぶと、
「そうよ!嫌がってるじゃない!」とリコも勢い込んだ。
「むぅ。素敵なコスチュームだね。小悪魔ちゃん。君はヒツジちゃんの彼女?」とタイガは目を細めながら聞いてきて、リコはぶんぶん首を振った。
「ち、違います!彼女はこっちで…」とあたしを見たけれどユズが居る手前リコはその後に続く言葉を飲み込んだ。
「って言うか龍崎くんを離してあげてください!」とリコは勢い込んだ。
「そうだ、そうだ!」とあたしも便乗したけれど、タイガは一瞬だけその切れ長の瞳を険しくさせた。
深い闇を思わせる黒い瞳の中に、赤い光が一瞬だけキラリと浮かんだのは気のせいか―――
「龍崎?」とタイガは低く聞いてきた。
一瞬びくりとするぐらい低くて、ドスを含ませた声。
こいつ―――……何もんだ―――?