。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。



「…ところで、何しに来たんですか?俺、一応病人なんですけど」とキョウスケが不機嫌そうにタイガを睨む。


「風邪かい?可哀想に~。昨日は雨だったもんね。僕がつききりで看病してあげるよ♪」


なんて言ってタイガはキョウスケの手をぎゅっと握った。


キョウスケは抵抗する力もないのか、ぐったりと指先を下ろしている。


戒の整った眉がぴくりと動いたが、結局タイガに何かを言うことはなかった。


「って言うかなに!?あんたホントにキョウスケに会いに来たのか?」


あたしがキョウスケの代わりにタイガから手をべりっと引き剥がすと、タイガはめげずに、にこにこ。




「デートのお誘いに来たんだ♪試写会のチケットが手に入ったからね~。何と


近日公開予定の“双りぼっち”you主演の映画だよ~?見たいでしょぉ?」





タイガはひらひらとチケットをひらつかせて、あたしたち四人はその場で目を開いて時が静止したように固まった。


「……何であんたがyouの映画の試写会チケットなんて持ってるんだよ…」


探るように聞いたのは、戒だった。


タイガはチケットにちゅっとキスをすると、


「知り合いに映画関係者が居てね~♪君たちのことだからyouのこと探してるんじゃないかって思って」


と意味深に、にやりと笑ってあたしたちを順に眺めた。





こいつ―――どこまで知ってる……?


一体何のつもりで試写会に誘ってるんだ―――?






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