。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
あまりの怒りに『キィイイ』とテディの耳に噛み付いて引っ張っていると、
「コーヒー、一つください」
マイペースにパーサーに話しかけてる響輔。
何なのこいつ!何なのーーー!!
あたしに堕ちない男はいないって言うのに!こいつにあたしの色気が伝わらない!!
あたしを女と意識してないですって!
こんな美しい女がすぐ隣に居るってのに、何で意識しないのよ!!!
心の中でひたすらに喚いていると、
「……う」
遠くで響輔の声が聞こえた。
「一結」
短く名前を呼ばれてあたしは、はっとなった。
「……え?」
「え?じゃないて。コーヒー、飲む?」
「…え?あ、うん。飲む」
素直に頷くと、
「すんまへん。コーヒー二つ」
響輔が指を二本立ててパーサーに注文していた。
び―――っくり……した。
だってきちんと名前呼ばれることってあんまりなかったから。
親しい人はイチって呼ぶし、女優やモデル業界では“you”で通ってる。
一結は、
ママがつけてくれた、思い出の名前。