。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
夏だというのにあったかいコーヒーを受け取って、あたしは何となく聞いてみた。
「一結って……どうして名前呼んだの?」
「…あぁ、だってあんたをあだ名で呼ぶほど親しくないし、俺あんたの名字知らんし」
なんて響輔はまたもさらり。
あっそ!!
んで!残った選択肢が名前だったわけね!
バカみたい!名前呼ばれただけで、ドキッとするなんてーーー!!
あたしは恋する中学生かっつうの!
苛々としながらコーヒーをがぶりと飲む。
苦い味が口に広がり、喉を通る。その味に顔をしかめながら、
ドキッ……??
恋する中学生?
あたしは目をまばたいた。
―――まさか、このあたしが……??
隣で涼しい顔をしてコーヒーを飲む響輔をじっと眺めて、あたしは目を開いた。
相変わらず何を考えているのかまったく分からないその顔は、人形のように整っている。
ぼおっとしていうように見えて、時々視線が鋭くなる。
切れ長の瞳をすっと細めて、まるで射るように険しいものを浮かべて、
ドキン……
またもあたしの心臓が音を立てた。
出し抜けに響輔がこちらを振り返り、
「なぁ、これ薄い思わん?」
顔をしかめてコーヒーのカップを掲げるその様に、
あたしは額を押さえた。