軽業師は新撰組隊士!


三人対五人。

人数では分が悪い。


「僕が、三人を殺ります。」


沖田はそう言うと、敵のいる方へと駆け出した。


沖田が三人を相手にするなら、楓と、もう一人の隊士は一人ずつを相手にすれば良い。


楓は、沖田とは反対の方向に駆け出す。

そして――、


――ガキィィイン!


楓が敵に振り下ろした刃は、敵のそれによって阻まれた。


「――!貴様、女か!」


敵は驚愕に目を見開く。


「女だから…、なんだって言うんですか。」


敵は、相手が女だから幸運だ、と。それと同時に絶対負けらんないという気持ちになる。

そして楓は、それを察した。


「――女でも、守りたいものがあるんです。刀を持ってでも。」


楓は、地を蹴って跳ぶ。

重力を感じさせない動きで、楓は相手の背後にまわった。



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