軽業師は新撰組隊士!
そのまま斬りかかるが、流石に相手は素人ではない。
背後にまわっての攻撃なんて常識への対処くらい出来て当たり前なんだろう。
「へっ、“女でも”と言ったが、女は男に勝てやしねえ。男はいつでも女の上だ。それは当たり前で、だからこそ男が戦い、女は家で待ってるんだろ?」
一旦、距離をとった敵の男がそう言った。
この男尊女卑の時代では、それが当たり前。
男は、女より強くて優位が当たり前。
だが、
平成に育った楓は違う。
「なにが…当たり前なんです?」
「あん?」
再び楓は斬りかかる。
「同じように肉体を持ち、同じように生命を持ち、同じように生きて……男と女の何が違いますか?」
「ぐっ…!」
楓の振り下ろした刃は、敵の頬を少しだけ傷つけた。