軽業師は新撰組隊士!



楓の武器は、“軽業による変則的な動き”そのもの。


「チッ…、しくったな…。」


敵は、血が少し出ている頬を袖で拭い、反撃に出てきた。


楓は、欄干から欄干へと飛び、攻撃を交わす。


「――…何なんだ、その…戦い方は…。」


敵は困惑したようすで、そう言った。


「私の特技であり、生業であったものであり、私の大好きなものであり、私の…武器でもあります。」


そして――


――ザシュッ!


嫌な音がして、敵の身体から血がものすごい勢いで流れ出る。

楓がつけた傷は、致命傷になっただろう。


そこに、


「楓。とどめを刺して下さい。」


至る所に返り血を浴びた沖田が、近くに立っていた。


とどめを刺す。
それは、


「殺すんですか…?今?…だって、致命傷は…」


「致命傷を負わせても、もし生き残ったらどうします?」


敵の人生を、確実に終わらせるということ。



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