軽業師は新撰組隊士!



それは、負けが死と直結することへの恐怖かと言えば、違う。


殺すことが、怖い。


「楓。」


「…はい。」


「覚悟を、決めて下さい。命を背負うことの、覚悟を。」


楓は頷く。

そして、



「敵だから…すみません。私がその命……終わらせます。」


片膝ついて、弱っている敵にそう言って、楓は刀を構える。


「俺は…死んで、そしてお前を恨む。」


「かまいません、それで。」


「……なぜ、泣く。」


「…、泣いてません。」


楓は敵の心臓を一突きにして、殺した。

楓の言葉どおり、楓は泣いてはいなかった。



< 115 / 250 >

この作品をシェア

pagetop