軽業師は新撰組隊士!
それは、負けが死と直結することへの恐怖かと言えば、違う。
殺すことが、怖い。
「楓。」
「…はい。」
「覚悟を、決めて下さい。命を背負うことの、覚悟を。」
楓は頷く。
そして、
「敵だから…すみません。私がその命……終わらせます。」
片膝ついて、弱っている敵にそう言って、楓は刀を構える。
「俺は…死んで、そしてお前を恨む。」
「かまいません、それで。」
「……なぜ、泣く。」
「…、泣いてません。」
楓は敵の心臓を一突きにして、殺した。
楓の言葉どおり、楓は泣いてはいなかった。