Love Box:)
『そうしたら、そうしたら息できるようになる?』
もうその時には喉をかきむしりたくて堪らなくて、気道がヒモで結んだみたいに縮まっていたけれど。
「わからない。もしかしたらもっとできなくなって、死んでしまうかも」
冗談を言うにしては悲しすぎる顔をしていた。たっちゃんはいつの間にかこんなにも大人だ。
おんなじ17歳なのは変わりないけれど、あたしはいつだって彼の造った…
そうだ、あれはアイスのコーン。2人乗りした自転車のカゴ、デートでいった狭い映画館、彼の好きな本、その歌声の中、バスタブの中、
全部彼が造ったものの中。私は体をちぎられて、ちょっとずつ閉じこめられて
だからきっと、息ができないのよ。
『ね、あたしを出してよ。ね、ね、ね、』
ドンドン、たっちゃんの胸を叩く。あったかい。あったかくて、それがわかるだけでも体の奥がキュゥ、となく。
これは重症ですね。慇懃な顔つきの白衣のお医者さまにみせたって、きっとそういうに違いないんだわ。
『だして、だして。…あのランドセルはどこ?』