Love Box:)
「それを背負っていた頃、俺の世界にはみちるしか居なかった。ほかには誰も、頼れなかったんだよ」
お金持ちの子供で、女の子みたいに綺麗な顔をしていたたっちゃんは、小学校で虐められていた。
初めてあの公園で目を合わせたとき、あたしは人間にばけた妖精が傷つけられて泣いてるんだと思った。
『もうたっちゃんはこんなに大きくて。あたしなんかよりこの世界を上手く生きているじゃない』
「………」
『たっちゃんの世界は広がったのよ』
あたしの世界はまだあのときのままだ。ちっとも広がってなんかない。
でも、それじゃだめなのよ。
「俺の世界は広がってなんかないよ。ただ世界の外に少し電波を飛ばしてるだけ」
『ふふ、なにそれ…』
「笑った。みちるの優しい笑顔が俺はどうしようもなく好きなんだ」
いつもふわふわと揺れるように優しく存在しているはずのたっちゃんが、あたしをぐいと引っ張った。
物凄い引力にひかれて、反動で顔を彼の胸に思い切りぶつけた。
『痛…―――――』
いままでに見たことのないようなたっちゃんの豹変ぶりに驚いてそう呟けば、ガブリと口を食べられる。
あたしは溶けそうなアイスじゃないのよ。わかってるのかしら。