イマージョン
過食症。そう言ってもおかしくない。
常に食べ物の事で頭が、いっぱいだ。

お昼の休憩時間の事ばかり考えていた。

お昼休みになると、店を飛び出し、人で溢れかえる道を押しのけて、我先に、早く、早くしなくちゃ。休憩時間が無くなっちゃう。と、食べ物を買いに急いだ。

買うのは大体パン。平均5個は買っていた。
そのパン屋では、毎日パンを大量買いする女。若しくは使いっパシリで同僚の分を買っている女。と、顔を覚えられているかもしれない。

けれどそんな事は、どうでも良い。
早く食べたい。
昼休みに、その5個のパンを一気に食べる。

パンの種類など、どうでもいい。とにかく量が多くて、大きいパンを食べる。
ガツガツとパンを貪る姿が、テーブルに置いてある鏡に映し出される。
その姿は、醜く気持ちが悪い。

だけど、食欲には勝てない。貪り喰う姿を誰かに見られたくないのと、エサを与えられた犬が横取りされそうになると、人間に噛み付くみたいに、誰にも取られるハズが無いのに、無心で早く食べ続ける。

がっついている姿も見られたくないし、食べている時がストレス解消になる事を知った。
いつも、一気に5個のパンを喰らいつく。

そして、食べた後に後悔が襲って来る。

お腹が、出っ張って苦しく、情けなくなる。

でも暫くすると、まだ、お腹がいっぱいなのに、また食べ物の事を考え始める。

食品類を品出ししている時は生き地獄だ。

袋を開けて、貪り喰う自分を、どうしても妄想する。

止まらない。

仕事のストレスと過食が比例して行く。
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