高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「お隣の皆川さんの息子さん就職内定したのねぇ。高卒だと厳しいのに努力したのねぇ」


「そういえば親戚の美咲さんの娘さんも国立大学現役合格したのよねぇ」

「あー長女は社会人なのに長男は不登校……子育て私なりに一生懸命してきた報いがこれとはね」

こういったイヤミを俺がリビングを通る度にわざとらしく呟く。一度、文句があるなら直接言えよとキレた。


「真面目で親孝行してくれる優しい息子が欲しかったわ」


目線を合わさず、背を向けて実の母親に声を震わせながら突き付けられた刃の言葉は、今でも鮮明に覚えている。


俺はその時から母親とまともに会話も交わさないし、顔も見ていない。


俺の心に傷が無い部分は無い。



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