高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「ジャーナリストっつうのは獲物によっちゃあ命懸けだ。権力を盾に上り詰めた奴の根っ子を引っこ抜くのは並大抵じゃねぇ」


遷崎は腕を捲り、肩から肘に掛けて付いた一筋の傷痕を俺に見せた。


「桐生財閥が公表されたら困るネタを入手した時、オレの居場所を嗅ぎ付けた雇われのSPが擦れ違い様に警告してきた」

“愛するモノが在るなら深い場所へ潜り込むな”

「オレだって人間だ、そんな風に脅されたら怖ェし、何より身の安全を優先するさ。けどな、愛するモノが深い場所にあったらやるしかねぇだろ」

遷崎の瞳は自らの命を懸けて死線を潜り抜けてきた漢(おとこ)の真っ直ぐな瞳だった。


「それがそういった傷痕なんすね」


俺は遷崎みたいな覚悟は絶対持てやしないと思った。


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