空っぽなあたしとヤンキーな彼

[side未来]

あたしは相談室で待機することになった。
カバンにしまっておいたケータイを取り出す。
家族以外は登録されてないアドレス帳…
何のメモリーも残ってないデータフォルダ。
送受信ともに空っぽなメールボックス。

ケータイでさえ空っぽ。
さみしいよ…
前の私はどうだったのかな?
この間みたいに、スカウトとかされてたのかな?
友達はたくさんいたのかな…
彼氏とか…いたのかな?
勉強できたのかな?

考えれば考えるほどあたしには何もなかった。
空しいな。

あ~あ。
何でぜーんぶ忘れちゃったんだろ…

急ブレーキの音を思い出す。
頭から消えてなくならない。

それが唯一覚えてること。
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