君との出会い~奇跡がある限り~
皆が、泣いていた。
慶介は……泣いていなかった。
放心状態のようだった。
そんな慶介に近づき私は、軽く抱きしめた。
「慶介……泣きたいなら泣いても良いんだよ?
何年あんたと一緒にいると思ってんのさ。」
慶介は、うつむいたままぼんやりと答えた。
「泣けない……珪奈が、ずっと笑っていて欲しいって…最後に…」
「そっか……だったら笑顔で、見送ってあげたら?
天国にいけるように。
その願いちゃんと、叶えてあげなよ。最後に付き添ってあげられたんだから。」
「うん……そうする。ありがとう……亜美も、充のところに行ってきたら?」
慶介はそういってぎこちなく笑った。
そして、その足で珪奈ちゃんの顔を見に行った。
珪奈ちゃんは、そのままふたを閉じられ、火葬場の中に入れられた。
そして、扉が閉められた。
中から出てきたのは、一時間くらい過ぎた頃だった。
皆珪奈ちゃんの骨を、無言で拾って小さな箱の中に入れていった。
そして気づいたら全てが終わって皆解散していた。
「亜美…辛いだろうが、父さん達は仕事が残っているから…戻るな?」
「うん。仕方ないね?じゃあまた今度。」
そういって私の両親は海外へ飛んでいった。
その後一人で家に帰り、散々泣き明かした。