それぞれのstory。
「どうぞ。」
家のリビングに通され入ると、透琉の家に遊びに来ていた頃とあまり変わっていなかった。
断ってソファーに腰掛けた私に、透琉のお母さんは、お茶を出してくれた。
「ありがとうございます。」
私は頭を軽く下げてお礼を言った。
お母さんは自分の分も置くと、向かいのソファーに腰掛けた。
「急に来てすいません。」
「良いのよ。
私もずっと…あの時責めてしまった事、後悔してたの。
ごめんね。
会いに来てくれた貴女を一方的に責めてしまって。」
お母さんは、本当に申し訳なさそうに、ゆっくり話して謝ってくれた。
「いえ…私だけ助かってしまったから…。
愛されてた透琉が居なくなって、私だけ…。
許せなくても、責められても仕方ないと思います。」
「そんな事ないわ。
私が言うのも可笑しいけれど…貴女が生きててくれて良かった。
あの子…とても貴女を大切に想ってたから。」
「お母さん…。」
過去を振り返るように、何処か遠くを見つめながら、お母さんはそう話した。
「もし貴女だけ居なくなっても2人一緒に居なくなっても、透琉は悔やんでも悔やみきれなかったと思うから。
そんな大切な貴女に、悲しみを憎しみに代えて責めてしまった。
ごめんね。
聞いてたの。
半年目を覚まさなかったって。」
「はい。
目が覚めて、透琉がもう居ない事を知らされて…絶望しました。
周りが止めてくれなかったら、私もきっと…。」
「そう…良かったわ。
生きててくれて。
貴女を責めてしまったあの後にね、時間が経って悲しみは残ったけど、だんだん冷静に考えるようになって。
どれだけ酷い事を言ってしまったのか気づいたの。」