どうしょうもねぇくれぇ、好き。





「…。」




予想外の言葉に返す言葉が見付からねぇ。



死んだ?



去年の夏?




「…何で、死んだんだ?」




聞いてもぃぃのか迷ったけど、

聞かなくちゃいけねぇ。

何故か、そう思った。




俺の言葉を聞いた長原は少しだけ悲しそうに笑って



「そん時に付き合っていた男の車に乗ってた時に死んだ。


男は酒を飲んでいたらしい。酔ってて意識がハッキリしてなくて…。


信号無視で電柱にぶつかって二人とも即死…だってよ。」




相変わらず俯いて話す長原の肩は震えていた。




「……ぃぃよな。そん時の男はよ。鈴奈(れいな)と一緒に死ねたんだからよ。」




鈴奈、とはその時の女の事だろう。



長原がクシャリ、金色の髪の毛を握る。




「俺が鈴奈を離さなかったら、死ななかったんだ。


そう思うと、未だにどうしようもなく泣けてきて…っ、」




長原が、泣いている。




声を押し殺して。





< 47 / 176 >

この作品をシェア

pagetop