片恋★パンドラボックス
「ほんっと、優斗って優しいのか優しくないのか分かんない。」



「えー今さらそれ言う?奈緒だって、俺がいつでも誰にでも優しいわけじゃないの知ってるでしょ?」



「……知ってる、けど。」



「ん?」



プイッと顔を背けたあたしは、「なーに?」と顔を覗き込んでくる優斗をチラリと見た。



知ってるからこそ優斗の手を取った。



優しくて、全然優しくない。簡単にはいかないから好きになろうと思った。



『片方を得る為には、もう片方を捨てろ。』



『好きなままでいいから…』とか、『俺が忘れさせてやるから…』なんて、甘やかすようなことを言わない優斗だから、あたしは好きになりたいと思った。



………だから。

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