片恋★パンドラボックス
“覚悟は出来てる。”



困ったように顔をしかめながら黙り込む優斗にそう目で訴えれば、スッと目を逸らされた。



「優斗。」



「………」



でも、逃がさないとばかりに、あたしは優斗の名前を呼んだ。



「優…」



「ねぇ、奈緒?」



「ん?」



「俺………ううん。なんでもない。」



「ん?…っ!」



突然、何かを吹っ切ったようにニッコリと微笑んだ優斗は、あたしの頬にソッと手を添えるとズイッと顔を寄せてきた。



「奈緒。」



「っ!」



「なーお。」



「っ!」



「……シよっか。」



「…ンッ…」



瞬間、気づいた時には既に遅し。唇を塞がれ、ベッドの上に追いやられながら熱い舌に舌を絡め取られたあたしは、されるがまま、優斗にその身を預けた。

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