片恋★パンドラボックス
「ンッ…やぁ…ッ…」



「奈緒。イヤ?」



「やじゃ…アッ…ン…なっ!」



「本当に?」



「ふぅ…ッ!…んッ…」



「……意地っ張り。」



「ちがっ…ッ!」



確認を取りながら、あたしの体の隅々に愛撫していく優斗。



「奈緒?」



「な…ンッ!」



「俺、奈緒の兄貴の代わりになるつもりないよ?」



「わかって…ッ…るぅ…ッ…」



「わかってない。俺とこんなことしちゃって本当にいいの?この手だって兄貴のじゃないよ?」



「い…ンッ…」



「はぁ…嘘ばっかり。」



そんな意地悪なことを言いつつもあたしの体に触れる、手も指も唇もどれも熱くて優しくて。
でも、それと同時に言いようのない感情が胸の奥から込み上げてきて。



「奈緒?そんな顔しても、俺、止めてあげないよ?ちゃんと奈緒が言葉にするまで。」



「ゆ…とぉ…」



「ん?」



「あたし…」



「うん。」



「おにーちゃんが…いい。」



無意識のうちにポロポロと涙を零していたあたしは、つけまが取れようがお構いなし。目元を隠しながらプイッと顔を背けると、絞り出すように言葉を紡いだ。

< 119 / 205 >

この作品をシェア

pagetop