片恋★パンドラボックス
「はぁ…」



「あぁー…もうっ!奈緒!やっぱ待って!」



「ん?」



「やっぱ…うん。送らせて。そんな、ちょっぴり寂しいな的な、捨てられた子犬みたいな瞳されたら、ほっとけないじゃん!ってか、そんな奈緒見捨てたら、俺、今夜チャッキー化したチャッピーに殺される気がする。うん。そんな気がする。」



「プッ!なにそれ。」



でも、なんだかんだで優斗に引き止められたあたしは、再び部屋に逆戻り。



「それに…ね、」



「ん?」



「なんだかんだで奈緒の気持ちに片足突っ込んじゃったわけだし、いろいろ整理出来るまで隣に居てあげる。もちろん、やっかいな初恋に悩まされる者同士、特別な友達としてね。」



「優斗ぉー!!」



「はいはい。じゃ、行くよー。」



「うん!」



手を差し伸べてくれることはもうないけど、そのさり気ない厳しさが今のあたしには丁度いい。



ニッコリ笑う優斗の後に続いて部屋を出たあたしは、たわいもない話をしながら2人電車に揺られ、家の最寄り駅に到着した。

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