片恋★パンドラボックス
「あっ…」



「えっ…」



瞬間、温もりが消えた右の手のひら。



手を繋いでいてくれた、と気付いた時には既に離れた後。



「ゴメン。嫌だった?」



「違っ!」



「やっぱ嫌…だよな。奈緒には立派な彼氏いんだし。俺なんかじゃ…」



「そんなことないっ!!」



「えっ…」



後ろから聴こえた寂しげな声にバッと上半身を起き上がらせたあたしは、目を見開くおにーちゃんをキッと睨みつけると一気にまくし立てた。

< 158 / 205 >

この作品をシェア

pagetop