片恋★パンドラボックス
「嬉しそーな顔しやがって…。喧嘩になっても知らねーかんな。」



「ん?どーしたの?おにーちゃん?」



「別に。」



プイッとそっぽを向いたまま、ポツリと呟く、おにーちゃん。



「なに怒ってんの?」



「怒ってませーん。呆れてるだけでーす。」



「なにそれ。」



そんなおにーちゃんの顔を覗き込みながら、ぷうっと頬を膨らませるあたし。



「おっ!ブサイク発見!」



「もー!おにーちゃんのバカッ!」



「はいはい。ってことで、よし!じゃ、帰るか。」



「うん!」



悪口を言われたことはさておき、荷台をポンポンと叩くおにーちゃんに促され、横向きに座ったあたしは、躊躇することなく、ギュッとおにーちゃんの腰に腕を回した。

< 94 / 205 >

この作品をシェア

pagetop