片恋★パンドラボックス
瞬間、鼻を掠めるおにーちゃんの香り。



クールビズ仕様だから服装はノーネクタイ。でも、シャツは入社祝いにあたしがプレゼントしたソレ。



店員さんの言う通り、半袖も選んでよかった…。



「お前さー。」



「んー。」



「あー…なんでもねー。」



「なにそれ。」



瞬間、ため息が聞こえたのは、きっと気のせい。



久々のおにーちゃんの堪能するようにその背中に顔を埋めたあたしは、腰に回す腕の力を少しだけ強めた。

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