片恋★パンドラボックス
こんな風に抱きついて、ドキドキしないと言えば嘘になる。



この温もりに愛しさを感じないと言えば嘘になる。



でも、もうこれ以上“好き”は増えない。ううん、絶対に増やさない。



あたしの“好き”は、あの日、優斗と付き合い始めた日に捨てたから。



優斗の手を取った瞬間、あたしの恋はおしまいって決めたから。



だから、おにーちゃんの大切な人のことは、訊かないし触れない。



捨てたものにわざわざ手を伸ばすなんて、そんなこと、絶対にしない。

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