竜を狩る者
竜種の中には、限りなく神に近いといわれる高等種もいるという。

言葉を解し、言語を話し、古の知識を多く持っている神獣に近い存在もいるのだそうだ。

そこまでの高度な知能を持ち合わせないにしろ、人間の言葉を理解でき、話さずとも意味がわかるものも存在するらしい。

が。

「帰れ」

ローゼンはサンの脇をすり抜け、峡谷の道をひたすらに歩いた。

「足手纏いには…ならない…!」

サンはローゼンの背中に叫ぶ。

「俺の事は…放っておいてくれていい…同行させてくれるだけで…いい」

「駄目だ」

振り向きもせず、サンを置き去りにして。

ローゼンはひたすら歩く。

「お前は何もわかっちゃいない」

「綺麗事を…言うからか?」

サンが険しい表情をする。

『戯言』『甘っちょろいお題目』『子供の夢物語』

サンの口にする理想は、いつでもそうやって嘲笑の的にされてきた。

< 104 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop