二つのシルエット
暫く経つと、また鳴り響く悠生ちゃんのケータイのバイブ音。
ちらっとそのケータイを見ると、ディスプレイには
ーcallingー
一ノ瀬 一哉
と写されていた。
電話の相手が男の人だった事が分かり、パッと那都の方を見ると、今までにないくらい眉間にしわを寄せていた。
ジュースを注ぎ終えたのか、悠生ちゃんはコップを持ちながらこっちに向かってきて
「ごめんね。
うるさいよね。」
そう言いながらケータイを持って、部屋から出ようとした。
「ここで出て良いよ?」
その方が那都も安心するしね。
「え? でも…。」
「俺ら静かにしてるし。」
「…ごめんね。」
悠生ちゃんはそう言うと、そっとケータイを広げた。