誠ノ桜 -桜の下で-



凜は受け取ろうとしたのだが、体中が痛んで
手を動かす事が出来ない。


「…待ってね」


それに気付いた沖田は、そう言うと口に水を
含む。

それから、凜に口移しで飲ませた。


「…ん……」


ごくり、と凜の喉が上下する。

だが、飲み終えても口付けは終わらなかった。


それは、どんどん深くなっていく。

凜は体が動かないのだから、勿論抵抗なんて
出来ない。

漸く唇が離れると、凜は呼吸を荒くした。


「っはぁ、はぁ……」


ずっと息を止めていたらしい。


「ごめん、つい」


なんて「てへ☆」みたいに言われても可愛くな
いとばかりに、凜は顔を背けた。


「ごめんってば」

「………」


遂には無視する始末。


「凜ちゃーん」

「………」

「凜」

「っ、り……!?」


いきなり呼び捨てで呼ばれて、つい反応して
しまう。

お蔭で総司に笑われた。



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