誠ノ桜 -桜の下で-
「……行くか」
「はい!」
実は氷上、犬山に弱い。
氷上は基本無愛想なのだが、可愛らしいモノ
には滅法弱いのだ。
つまり犬山は可愛らしい顔立ちだと言う事。
四人はそれぞれに歩き出す。
凜は村辺りにやって来た。
松平から、藩士を募っておいて欲しいと命を
授かっていたのだ。
先ず目星を付けたのは道場。
道場破りとして入り、中の選りすぐりを貰っ
ちゃおう作戦だ。
「さて、と…」
近くに道場を見つけた為、入口で息を吐く。
しかし、一人で来たのは失敗だったか?
ふとそう頭を過ぎった時、背後の草むらがガ
サリと音を立てて揺れた。
「薫、いい所に」
「そんな事だろうと思ってさ」
俺達以心伝心だし?と笑う宮部を殴ると、凜は
道場の扉を開けた。
「ごめんください、道場破りです」
「え、何か違くない!?」