《短編》夏の雪
「でも、俺らは似た者同士で、波長は合うんだよね」

「みたいだね」

「直感でわかるのかもね、そういうの。俺も初めて夏美ちゃんを見た時、ビビビッときたから」

「それ古いって」


あたしは笑う。


執着しないところは似てる。

それは事実で、だからこそ、あたしは雪ちゃんといられる気がする。



「カレシさぁ。あ、元カレ? 元カレはさぁ、すんごい束縛激しくて。やばいよね。あたしのこと好きっていっつも言ってた。でもあたしにはそれがうざかったんだけど」


「ふうん」としか言わない雪ちゃんに、



「ねぇ、雪ちゃんはどうして今のカノジョと付き合ってんの?」

「顔がドンピシャでタイプだったから」

「顔かよ」

「顔だね。そんだけ。あとはどうでも」

「うわっ、最低発言!」

「ははっ。でもマジでその程度。だから俺も束縛されてて困ってる」

「じゃあ、別れりゃいいじゃん」

「んー、どうなんだろうね。でもあの顔はマジで手放すのはなぁ、って感じだし」

「ひどっ!」

「いや、顔は大事でしょ。あの顔があるから、すんごい我が儘でも許せてんだから」


雪ちゃんは相変わらず、あっけらかんとして言い放つ。


可哀想だな、カノジョ。

今の言葉、録音して聞かせてやりたいくらいだよ。



「あたし、雪ちゃんとだけは付き合いたくないわ」

「俺も夏美ちゃんと付き合うのは無理」



まさかあんたに拒否られるとは。



「でも、俺が40になっても独身だったら、その時は結婚してあげてもいいよ」
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