《短編》夏の雪
上から目線で、しかも勝手にあたしの将来をキープ?

てか、これ、プロポーズですか?


あたしは呆れすぎて笑った。



「意味わかんない。てか、雪ちゃん今いくつよ?」

「俺、26。しかもプーさんだしね」

「え?!」


そんなに上だったの?

それより26で金髪で無職ってどうなの。



「俺、これでもいい大学出たエリートなんだけど、飽きちゃって仕事辞めたんだよね。で、この前までホストしてたけど、それも飽きて」

「ダメじゃん」

「うん、ダメだね」


いつも雪ちゃんは、他人事のように自分のことを話す。



「てかさぁ、雪ちゃんが40の時、あたしいくつ? 32とか? 婚期逃したおばさんじゃん」

「だね」

「勘弁してよー」

「だからぁ、その時は引き取り手のない者同士、くっつけばいいじゃん?」


先のことすぎて想像すらできなかった。

だからまぁ、それならそれでいいんじゃないかと思った。


こんな約束に、意味はない。



「んじゃあまぁ、それまでに雪ちゃんが落ち着いたおっさんになってることを祈っとく」

「ははっ、期待すんな」


してないから。

雪ちゃんが“落ち着いたおっさん”になることは、あたしが32でもまだ独身でいることよりも、もっと想像できなかった。


風が舞う。


無意味な約束も、だから笑って流しておいて。

あたし達の関係なんて、その程度でいい。
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