Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「どうぞ~」
扉を開けながら、俺は似非クサイ笑顔でにこにこ、“彼女”を招き入れた。因みに裕二にはリビングで待っててもらっている。
女は最初びっくりしたように目を開き、
「あの……麻野さん……裕二の―――……?」とちょっと警戒するように顎を引いた。
「裕二の部屋に間違いないよ。どうぞ」
よそ行きの声で笑いかけ、客用スリッパを勧める。女は何故、裕二以外の男が居るのか分からないと言った感じで戸惑ってはいるが、大人しくスリッパに足を入れた。
白くてすんなりした足だ。
白地に花の刺繍が施してあるワンピース。髪は肩よりちょい下で、毛先をゆるく巻いてあった。
まぁ?見た感じからするとふつーに可愛いんだけどな。
でも重そうか、そうじゃないか、と聞かれたら前者だと即答できる。
瑠華や綾子みたいに気が強そうでもないし、シロアリのように猪突猛進タイプでもない。まぁある意味突っ込んでくるタイプはタイプだが、認めるのは癪だがシロアリはその辺空気を読むって言うか、諦めが早いって言うか、ね……
とにかく、流行の服装や髪形(はたぶんしてないと思うケド)やメイクをしていても、いかにも恋愛慣れしてない感じが漂ってくるし。今でも俺の態度に困惑している様に見える。
が、―――その分、何だか粘着質そう。
ちっ。俺は心の中で小さく舌打ち。
一番厄介そうなのと寝やがって。