Fahrenheit -華氏- Ⅱ
「ど……どうも」
女が訝しみながらも、ちょっと裕二の方へ視線を向けるが、裕二はわざとらしくその視線から逃れる。
その行動にも意味がある。
“ここ”での“本命”が名も知らないこの女ではなく、『俺』と言うオトコだと言うことを気付かせるのだ。
女はこうゆうところで妙な勘が働く、と言うからこの行動だけでも充分打撃を与えられる、とこれも瑠華ちゃんからの仰せ。
更に追加攻撃。
「ごめんね~、裕二が砂糖切らしてて。俺“ら”コーヒーはブラック派だから~」
『俺ら』とワードを盛り込み、あたかも二人で居ることに慣れてる感!
フっ
見よっ!!このキレのある技と相手に不信感を突っ込む隙を与えないスピード感。
ま、まぁ??俺がこの技に慣れてるのは以前関係のあった女たちから「女が居るでしょ!」て責め立てられた時から考えていた技で、言うならばこうゆう類のことで嘘ならいくらでも吐けるってことだ。
生憎、俺様は関係を持ってる女たちが鉢合わせると言う非常事態に陥ったことがないからな。女たちが顔を合わせたら?と言う時の行動は未だ未経験だが。
こんなときに思うのも何だけど、ちょっとは経験を積んでおいた方が良かった??何て今更。
女VS女だったら、そりゃ恐ろしい修羅場が待っているに違いない。だが生憎、今回は男VS女だ。
「……ゆ…裕二……この人本当にあなたの“お友達”なの?」
女が勘ぐってくれるのが予想より遥かに早かった。
「友達?」
俺の眉がピクリと動き、裕二を睨みつける。
裕二はマジで俺と女から睨みと、不信感をぶつけられて、今にも逃げ出しそうに腰を引く。
「裕二お前、俺のこと単なる友達としか思ってないわけ?
知らなかったぜ」
吐き捨てるように言うと、俺はやや大げさと言われる動作でガラスのテーブルを強く叩いた。