Fahrenheit -華氏- Ⅱ
テーブルに並べられた料理を瑠華は一通り眺めて、しかしその種類の全部が俺と佐々木で分けていたから、食べかけ?と言う状態で、割りばしを持ったまま止まっている。
食いかけがイヤだったのか?いや、初めて歓迎会をしたときも、経理部との合同飲み会でも躊躇が無かったように見えたが。
「前も思ったのですが、私こう言った席あまり慣れていなくて…」と瑠華が切り出し
「好きなの食べて?追加したかったらメニュー見て頼んじゃっていいから」と俺が不自然じゃない様に笑うと
「そうですよ~、あ、この春巻きとか最高ですよ♪」と佐々木はチーズとささみの春巻きを瑠華に勧めていて
「では、いただきます」と瑠華はその一つを取った。
「何か…大勢の人たちとの飲み会も楽しいですけど、こうやって気心知れたチームだけの飲み会もリラックスできていいですね」との瑠華の発言に
「だね~」と俺はわざとチャラけて言ったが
「チーム!」と佐々木は本気で嬉しそうだ。
「あ、だけど今日だけは仕事の話は抜きね」と俺が念を押すと二人は顔を見合わせ、そして素直に頷いた。
「ところで柏木さん、緑川さんと出かけたんじゃ?」と佐々木が出汁巻き卵を箸でつまみながら不思議そうに瑠華を仰ぎ見
「ちょっとお茶をした程度です。愚痴を聞いていました。村木部長の部署は大変なようで」
「あー、なる程ぉ、そりゃ村木次長のとこだとストレス溜まりますよね!」と佐々木は瑠華の淡々とした言葉の嘘をあっさり信じた。そして
「でも不思議な組み合わせですよね。だって緑川さん柏木さんのこと嫌ってませんでしたか?」と、瑠華がビールを豪快に飲んでいる隙を狙って俺にこそっと聞いてきた。
「女の友情(?)程分からんもんはない」と俺はキッパリ。本心だ。