Fahrenheit -華氏- Ⅱ
結局心音に説き伏せられ、半ば強引に彼女の言うセレブ御用達の豪華なホテルの会員制プールに連れて来られた。
ホテルのプールは広くて綺麗。
しかも時間が時間だから、客もまばら。あたしたちのほかにカップルが一組と男性客が数人居るぐらい。
心音の派手な花柄のビキニはショーツタイプのものだったけれど、あたしに貸してくれたのは二段のフリルが可愛い短いスカートみたいになってるやつ。
心音は羨ましいぐらいプロポーションが抜群。細いのに、出てるところはしっかり出てるって感じで……胸なんか迫力がある。
「ね、写真撮ろう♪」
心音はそう言って、何故かあたしの携帯を手にしている。
「それ、あたしのなんですけど」
「写真撮ってケイトに送るのよ」
「はぁ!?」
あたしは思わず心音を睨んだ。
だけどそんなあたしの不機嫌にも怯まずに、心音はマイペース。
「あんたのことだからどうせサービスしてないでしょ」
サービスって…まぁ否定できないけど……
「だ・か・ら♪たまにはしてあげたら?サービス♪」意味深に笑って心音は携帯を開いた。
カメラを設定するときになって、心音は何かを閃いたように顔を上げた。
「ね。写真送ったら電話来ると思わない?」
「は?ないない。だって彼仕事中よ。それに今更女の水着姿で何も思わないわよ」
「そうかしら?」と心音はにやりと意味深に笑った。
「あたしは掛かってくると思うな~。だって話聞いてると独占欲つよそ~。人前で肌を見せるなー!とか?」
心音の言葉に、あたしはあきれかえってため息をついた。